「まあでも、私はこれからはサポートしか出来ない役立たずになります……。申し訳ない」
クロウは懐からマジックポーションを取り出し、渋い顔をしながらそれをゆっくりと飲んでいく。
あの高威力の魔法を使ったのだ、「回復アイテムを使ったとしても魔力の全回復は無理です」とクロウは言いたいのだろう。
文字通り、切り札のエンチャントアイテムも全消費しちゃったしね。
「そこはまあ、全然気にしなくて大丈夫よ!」
「そうじゃ!」「あ、ありがとうございます! うう、でも折角作って貰った希少なマジックリング達が一発でパアに……」
そう、クロウが嘆くのは無理もない。
実はあのマジックリングは私達の報酬から作り出した力作中の力作なのだ。
『まあ、また私達で作ってあげるさ。なあ? レイシャ?』
「そ、そうね……」(別に作るのは苦にならないんだけど。あれ、結構いい魔石使っているのよね。でもまあクロウも頑張った結果だし仕方ないよね……)
「ところで、クロウ嬢ちゃん。あのどぎつい魔法は一体何なんじゃ?」
「あ、えーと、あれは召喚魔法の一種になります! 端的に説明しますと、呼び寄せた異界の黒き闇に攻撃対象を丸ごと連れて行ってもらう強制送還魔法です!」「ほ! それは中々えげつない魔法じゃの……」
そうなのだ、普段とても優しい彼女も本気を出したら恐ろしいのである……。
ということで、無事庭の番人達を倒せた私達は警戒しながら玄関のドアに手をかける。
「あれ? 鍵がかかっていない?」
肩すかしなことにすんなりと屋敷内に入れた私達は、うっすらと輝く月光を頼りに屋敷の回廊を慎重に歩いて行く。
鍵がかかっていなかったのはおそらく今いる屋敷の主から「これるものなら来てみろ」というメッセージだと私は受け取っている。
「……何奴? おいっ、